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Tanium  Jump Gate

「端末はTaniumで管理しているのに、サーバはまた別のツールと手順で……」──こんな状況、ありませんか?

多くの企業で、Taniumを導入しているにもかかわらず、触っているのはTanium管理者だけという現実があります。サーバ管理者にパッチ適用を依頼しても「忙しい」「サービスを止められない」と返され、Tanium担当者は上層部から「なぜパッチが当たらないのか」と詰められる──そんな板挟みに苦しんでいる方は少なくないはずです。

Taniumの新機能「Jump Gate」は、この状況を変えるための鍵になります。本記事では、端末もサーバも同じプラットフォームで管理する「みんなでTanium」の世界と、その実現に向けた現実的なステップをご紹介します。

現場に横たわる運用の分断
現場に横たわる運用の分断

端末とサーバ、なぜバラバラに管理しているのか

多くの組織では、端末管理とサーバ管理がまったく別のチーム・別のツールで運用されています。端末はSCCMやIntune、あるいはTaniumで管理している一方、サーバはChefやAnsible、あるいは手作業で管理しているケースがほとんどです。

これは歴史的な経緯によるところが大きいのですが、現場ではもっと切実な構造的問題があります。Tanium管理者しかTaniumを触っていないのです。

Tanium担当者はサイバーハイジーンの責任を負い、全社の脆弱性を潰していかなければなりません。しかしサーバは管轄外。各サーバの管理者にパッチ適用を依頼しても、「忙しい」「本番環境は止められない」と言われてしまう。上層部からは「なぜパッチ適用率が上がらないのか」と問われ、まさに板挟みです。

Taniumはもともとサーバも管理できるプラットフォームです。それなのに、Tanium管理者しか触っていないのは、もったいない話です。

なぜバラバラなのか──3つの壁
なぜバラバラなのか──3つの壁

バラバラ管理が引き起こす3つの問題

「まあバラバラでも回っているから」──そう思っていませんか? 実は、この状態には見過ごせないリスクが潜んでいます。

可視性の断絶

端末の脆弱性はTaniumで即座に把握できるのに、サーバ側は別のツールや手動の棚卸しに頼るため、全社のセキュリティ状況を一元的に把握できません。「うちの会社のパッチ適用率は?」と聞かれても、端末とサーバで別々の数字を突き合わせるところから始まります。

パッチ適用のスピード差

端末はTaniumで数日のうちに適用できても、サーバは「来月の定期メンテナンスで」となりがちです。結果として、同じ脆弱性が端末では解消されているのにサーバでは数ヶ月放置されるという状況が生まれます。

インシデント対応・監査の壁

問題が起きたとき、セキュリティチームがサーバを調査したくても勝手に触れません。承認を取り、操作ログを記録し、監査に耐えうる手順で進める必要があります。サーバは端末以上に監査要件が厳しく、この手続きの重さがインシデント対応のスピードを大きく損ないます。

バラバラ管理の3つのリスク
バラバラ管理の3つのリスク

「みんなでTanium」という選択肢 ─ Jump Gateが埋めるギャップ

「サーバ管理者にもTaniumを使ってもらいたいけど、権限管理はどうするの?」──これは当然の疑問です。サーバには本番環境が動いており、誰でも自由に触れるわけにはいきません。

この障壁を取り払うのがTanium Jump Gateです。

Jump Gateは、Taniumプラットフォーム上でJIT(Just-In-Time)/JEA(Just-Enough-Access)方式の特権アクセス管理を実現する機能です。追加のインフラは不要で、Taniumの既存環境にそのまま組み込めます。

現場で特に効くポイントは以下の通りです。

承認ステップを挟める。サーバへのアクセスに承認フローを組み込めるため、「勝手に触られた」という心配がなくなります。承認リクエストはTeamsやSlackに通知されるので、見逃しもありません。

コマンド履歴がすべて保存される。誰がいつ何をしたかが完全に記録されるため、監査対応の証跡が自動的に残ります。サーバ管理者にとっても「ちゃんとやっています」という証拠になり、自分たちの作業を守る盾にもなります。

Taniumで見えた端末にコンソールで直接手が届く。これが特にサーバ管理との相性が良いところです。Taniumのダッシュボードでサーバの状態を確認し、そのまま対象サーバのコンソールに接続して作業できます。別のツールに切り替える必要がなく、一連の作業がTanium上で完結します。

TaniumのRBAC(ロールベースアクセス制御)と組み合わせることで、「特定の人に、特定の権限で、特定のサーバだけを触らせる」という細やかな制御が可能になります。

Jump Gate実画面スクリーンショット
Jump Gate実画面スクリーンショット

こんなふうに変わる ─ 統合管理の具体的なシーン

「良さそうなのはわかったけど、具体的にどう変わるの?」──3つの典型的なシーンでご紹介します。

シーンA: サーバのパッチ適用

サーバのパッチ適用は、端末とは事情が異なります。パッチを当てる前にバックアップを取り、当てた後にサービスを再起動する必要があるため、Tanium Patchだけでは完結しづらいのが現実です。

ここでJump Gateのコンソール直接接続が活きてきます。Taniumのダッシュボードで適用状況を確認し、パッチ適用が必要なサーバを特定したら、Jump Gate経由でそのサーバのコンソールに接続。バックアップの取得、パッチ適用、サービス再起動という一連の作業を、承認済みのセッション内で安全に実施できます。

作業前後のサーバ状態はTaniumで確認でき、操作ログも自動記録されます。端末とサーバのパッチ適用状況を同じダッシュボードで一元的に把握できるため、CxOへの報告も格段に楽になります。

シーンB: 脆弱性の全社可視化

Tanium Complyを活用すれば、端末とサーバを横断した脆弱性レポートが生成できます。これまで別々のツールから集めていた情報が、一つのダッシュボードに集約されます。

「全社のパッチ適用率は?」という質問に、端末とサーバを分けずに一つの数字で回答できるようになります。監査対応やCxOへの報告書作成で、2つのレポートを突き合わせる作業から解放されます。

シーンC: インシデント対応

セキュリティインシデントが発生したとき、Jump Gateの真価が発揮されます。

特に強力なのが、ネットワーク隔離(Quarantine)中でも遠隔操作ができる点です。感染が疑われるサーバをネットワークから隔離しつつ、Jump Gate経由でそのサーバに安全にアクセスし、Threat Responseによる調査を実施できます。

通常、Quarantine状態のサーバを調査するには物理的にアクセスするか、隔離を一時解除する必要がありますが、Jump Gateならその必要がありません。セキュリティチームとサーバ管理者がTanium上で協働し、必要な権限をJust-In-Timeで付与しながら迅速に対応できます。

統合管理で変わる3つのシーン
統合管理で変わる3つのシーン

サーバ管理者を巻き込むための現実的なアプローチ

ここまで読んで「良さそうだけど、サーバチームをどう説得すればいいの?」と思った方。大事なのは伝え方です。

仕事を奪うのではなく、便利なツールを提供する

「Taniumに統合する」と言うと、サーバ管理者は「自分たちのやり方を否定されている」と感じるかもしれません。そうではなく、**「今の作業をもっと楽にするツールがある」**というメッセージが鍵です。

Jump Gateの操作感はSSHとほとんど変わりません。サーバ管理者にとって学習コストは低く、日常的に使っているツールの延長として受け入れてもらえます。

「見えるだけ」から始める

いきなりJump Gateで全サーバを管理する必要はありません。まずはTaniumのQuestionやダッシュボードでサーバの状態が見えるだけでも十分な価値があります。

サーバ管理者にとって、自分が管理しているサーバのパッチ状況や脆弱性情報がダッシュボードで一目でわかるのは便利なはずです。「見える」から「触れる」へ、段階的に広げていくのが現実的な進め方です。

権限設計はサーバ管理者と一緒に

Jump Gateのポリシー設計は、必ずサーバ管理者と一緒に行ってください。「何ができて、何ができないか」を一方的に決めるのではなく、サーバ管理者自身が納得できる権限設計にすることで、お互いの領域を尊重しつつ協働する体制が築けます。

サーバ管理者を巻き込むアプローチ
サーバ管理者を巻き込むアプローチ

まずここから始めよう

最初の一歩は、まず触ってみることです。

  1. Taniumクライアントの確認: 管理対象のサーバにTaniumクライアントが展開されているか確認します。未展開の場合はここが最初のステップです
  2. Teams/Slack連携の設定: Jump Gateの承認通知をTeamsやSlackに連携する設定は、ガイドに沿って進めれば簡単に完了します。まずはこれだけでも効果を実感できます
  3. RBAC設計: 実運用に入る前に、TaniumのRBAC(ロールベースアクセス制御)の設計は必須です。「誰に、どの権限で、どのサーバを」触らせるかを明確にしましょう
  4. パイロット運用: 一部のサーバグループで試し、効果を確認してから全体に展開する段階的なアプローチがおすすめです

「端末管理とサーバ管理がバラバラのまま」という課題は、多くのTanium導入企業に共通しています。Jump Gateは、Tanium管理者だけでなくサーバ管理者も含めた**「みんなでTanium」の統合管理**を実現するための橋渡し役です。

まずここから始めよう──4ステップ
まずここから始めよう──4ステップ

自社の環境でJump Gateをどう活用できるか、RBAC設計をどう進めるべきか──具体的な進め方でお悩みの方は、ぜひザッツイットにご相談ください。Taniumの導入・活用支援の専門チームが、貴社の状況に合わせた統合管理の実現をお手伝いします。

参考資料