「ServiceNowもTaniumも導入済みだけれど、連携はしていない」——そんな企業は少なくありません。ServiceNowをワークフローやチケット管理には使っているものの、Taniumが収集したエンドポイントの情報をServiceNowのCMDBに連携していないケースが多く見られます。
実はServiceNow StoreにはTanium公式の連携アプリが複数用意されており、Tanium側の追加費用は不要です(ただし一部アプリはServiceNow側の追加ライセンスが必要)。本記事では主要8アプリの機能を体系的に整理し、どこから・どの順序で導入すべきかを解説します。
なお、TaniumとServiceNowの連携の全体像や基本的な役割分担については、以前のコラム「Tanium × ServiceNowで実現するIT統合運用プラットフォームの理想形 」で紹介していますので、あわせてご覧ください。
ServiceNowとTanium、両方あるのに繋がっていないというもったいない現実
ServiceNowとTaniumの両方を導入している企業でも、実際には「ServiceNowはワークフローやチケット管理だけで使っている」というケースが非常に多いのが実情です。手動でデータを転記するような極端な非効率はないにしても、ServiceNowのCMDB(構成管理データベース)がきちんと活用されていない——これが最も「もったいない」ポイントです。
Taniumはエンドポイントの情報を正確かつリアルタイムに収集する「情報の収集もと」です。一方、ServiceNowはその情報を蓄積し、さまざまなITサービスの管理に活用する「中央制御装置」のような存在です。この2つが繋がっていなければ、Taniumが持つリアルタイム性や網羅性というせっかくの強みが、ServiceNow上の業務プロセスに活かされません。
ServiceNowとTaniumの役割と連携の全体像
実際に連携を進めた企業では、脆弱性の検知から通知までの時間を7分の1に短縮した事例も報告されています。「両方あるのに繋がっていない」状態から一歩踏み出すだけで、IT運用の質は大きく変わります。
ServiceNow Store上のTanium連携アプリ — 主要8種の全体像
ServiceNow StoreにはTaniumの連携アプリが多数公開されていますが、主要なものは以下の8種類です。大きく「プラットフォーム系」「IT運用系」「セキュリティ運用系」の3カテゴリに分類できます。
ServiceNow Store上の主要8アプリの分類
プラットフォーム系(2アプリ)
アプリ名 概要 Service Graph Connector for Tanium TaniumのHW/SW情報をCMDBに自動同期する基盤アプリ Tanium SDK ServiceNow上でカスタムTanium連携を構築するための開発キット
IT運用系(3アプリ)
アプリ名 概要 Tanium Live UI ServiceNowコンソールからエンドポイントをリアルタイムに確認・操作 Tanium Software Management サービスカタログ連携によるソフトウェアの自動配信・削除 Tanium Patch Management for IT Operations IT運用チーム向けのエンドツーエンドパッチ管理
セキュリティ運用系(3アプリ)
アプリ名 概要 Tanium Patch Management for Vulnerability Response 脆弱性対応に特化したパッチ管理(Vulnerability Response連携) Tanium Vulnerability Management Tanium Complyによる脆弱性ライフサイクルの統合管理 Tanium Security Incident Response セキュリティインシデントの自動エンリッチメントと調査支援
Tanium側の追加費用は不要ですが、ServiceNow側で追加ライセンスが必要なアプリもあります。導入を検討する際は、ServiceNow側のライセンス要件を事前に確認することをお勧めします。
プラットフォーム系アプリ — CMDB同期基盤とカスタム連携
プラットフォーム系の2アプリは、すべての連携の「土台」となる存在です。
プラットフォーム系アプリの概要
Service Graph Connector for Tanium
多くの企業でServiceNowのCMDBが十分に活用されていないという課題があります。CMDBの情報が不正確だったり、そもそもCMDBを利用していなかったりするケースが少なくありません。Service Graph Connector for Tanium(以下SGC)は、この課題を解決するための基盤アプリです。
SGCには専用のセットアップメニューが用意されており、そのメニューに沿って設定を進めるだけで、Taniumで取得したハードウェアインベントリ(デバイス種別、OS、メモリ、ストレージなど)やソフトウェアインベントリ(インストール済みアプリケーション、バージョン情報など)といった基本的な構成管理情報がServiceNow CMDBに連携されます。
IRE(Identification and Reconciliation Engine)による識別機能も備えており、重複データの排除やCI(構成アイテム)の正確な紐付けが自動的に行われます。定期的な同期スケジュールを設定することで、CMDBの情報を常に最新の状態に保つことができます。
Tanium SDK
Tanium SDKは、標準アプリではカバーしきれない独自の要件に対応するための開発キットです。ServiceNow上でカスタムのTanium連携アプリケーションやワークフローを構築でき、社内独自のIT運用プロセスにTaniumの機能を組み込むことが可能になります。
SGCが全アプリの基盤となる位置付けであるのに対し、SDKは応用・拡張のための位置付けです。まずはSGCでCMDBの精度を高め、その後に必要に応じてSDKで独自連携を構築するという流れが一般的です。
IT運用系アプリ — リアルタイム操作・ソフトウェア管理・パッチ管理
IT運用系の3アプリは、日常のIT運用業務を大きく効率化します。
IT運用系アプリの概要
Tanium Live UI
Tanium Live UIの最大の特長は、Taniumの管理権限がなくても端末のパフォーマンス状態を調べて対処が取れる ことです。
ServiceNowのコンソールから直接、対象端末のCPU使用率、メモリ消費量、実行中のプロセス、ディスク使用状況などをリアルタイムに確認できます。問題のあるプロセスの終了(Kill)やサービスの再起動といった操作もServiceNow上から実行可能です。
これにより、IT運用の一般担当者がTaniumの管理コンソールに直接アクセスすることなく、使い慣れたServiceNowの画面だけでエンドポイントのトラブルシューティングを完結できます。「PCが遅い」というインシデントチケットを受けた担当者が、その場で原因を調査し即座に対処する——そんなワークフローが実現します。
Tanium Software Management
Tanium Software Managementは、サービスカタログからアプリケーションを選んで、承認を経て配信を自動化 するアプリです。
ServiceNowのサービスカタログにアプリケーションのリクエストメニューを用意し、ユーザーが必要なソフトウェアを申請すると、上長の承認ワークフローを経てTaniumが自動的に対象端末へ配信・インストールします。不要になったソフトウェアのリモート削除やライセンス管理の自動化にも対応しています。
申請から承認、配信、インストール確認までの一連のプロセスがServiceNow上で完結するため、IT部門の手動作業が大幅に削減されます。
Tanium Patch Management for IT Operations
IT運用チーム向けのエンドツーエンドパッチ管理アプリです。パッチの適用状況を常時把握し、未適用端末の是正を進めることができます。
ServiceNowのChange Management(変更管理)との連携により、パッチ適用を変更管理プロセスに組み込むことが可能です。パッチの展開計画の作成、承認ワークフロー、適用実行、結果確認までをServiceNow上で統合的に管理できます。
セキュリティ運用系アプリ — 脆弱性対応・パッチ管理・インシデント対応
セキュリティ運用系の3アプリは、脆弱性管理からインシデント対応までをカバーします。
セキュリティ運用系アプリの概要
Tanium Patch Management for Vulnerability Response
ServiceNowのVulnerability Responseと連携し、脆弱性対応に特化したパッチ管理を実現するアプリです。
脆弱性が検出されると、ServiceNow上でChange Record(変更レコード)が自動作成され、承認ワークフローを経てTaniumによるパッチ適用が自動的に実行されます。No-code Flow Designerとの連携により、脆弱性の重大度に応じたパッチ適用ルールをコーディングなしで設定することも可能です。
Tanium Vulnerability Management
Tanium Complyが検出した脆弱性情報をServiceNow上で統合管理するアプリです。脆弱性のライフサイクル全体——検出、評価、優先順位付け、対処、検証——をServiceNowの画面上で一元的に管理できます。
脆弱性を把握し、対処の優先順位を判断し、パッチ適用などの是正アクションにつなげる。この一連のプロセスがServiceNow上でシームレスに流れることで、脆弱性対応のスピードが大幅に向上します。
Tanium Security Incident Response
ServiceNowのSecurity Incident Responseと連携し、セキュリティインシデントの調査と対応を加速するアプリです。
インシデントが発生した際、Taniumが持つエンドポイント情報をもとにアラートの自動エンリッチメント(追加情報の付与)を行います。サイティング検索(関連する痕跡の広範囲検索)をServiceNow上から実行することも可能で、アラート検知から初動対応までの時間を大幅に短縮します。
導入ロードマップ — どのアプリから、どの順番で始めるか
8つもアプリがあると、どこから手をつけるべきか迷うかもしれません。推奨する導入の進め方をご紹介します。
推奨導入ロードマップ
まずは基盤構築 — CMDBとSDK
最初に取り組むべきはService Graph Connector for TaniumとTanium SDK です。SGCによってTaniumの構成情報がServiceNowのCMDBに連携され、ServiceNow上で管理対象の端末を正確に把握できるようになります。SDKも同時に導入することで、カスタム連携が必要になった際にすぐ対応できる基盤が整います。
このステップが完了すると、「ServiceNow上で端末の状態が見える」という大きな変化が生まれます。これだけでもIT資産管理やインシデント対応時の情報精度が向上し、導入効果を実感できるはずです。
基盤の先は、組織の要件次第
CMDBとSDKの基盤ができたら、その先はどの方向に進むかは組織の優先課題によって異なります。以下の3つの方向性は横並びであり、どれが先というものではありません。
IT運用の効率化を優先する場合
ServiceNowのワークフローと組み合わせて、Taniumで端末に対するActionを実行できるようにします。Live UI でリアルタイムのトラブルシューティング、Software Management でソフトウェア配信の自動化、Patch Management for IT Operations でパッチ管理の効率化を進めます。
セキュリティ運用の高度化を優先する場合
脆弱性管理を強化したいならVulnerability ManagementとPatch Management for Vulnerability Response 、インシデント対応の初動を早めたいならSecurity Incident Response を導入します。セキュリティ運用系アプリはServiceNow側の追加ライセンスが必要な場合があるため、ライセンスの準備状況も考慮して計画しましょう。
独自要件への対応を優先する場合
導入済みのSDKを活用し、自社固有の要件に対応するカスタム連携を構築します。標準アプリでカバーしきれない独自のワークフローや、社内システムとの連携などを実現します。
統合運用が生み出す真の価値
ServiceNow × Taniumの連携は、まず「CMDB連携で端末を把握する」基盤を作り、そこから組織の優先課題に応じてIT運用・セキュリティ運用・独自連携を展開していくことで、着実に成果を積み上げることができます。
8つのアプリのどこから始めるべきか、自社の環境にどう適用すべきか——そうした判断に迷った際は、Tanium × ServiceNow連携の実績を持つ専門家に相談することで、導入をスムーズに進めることができます。ザッツイットでは、お客様の状況に応じた最適な導入ロードマップをご提案しています。